今日、いつも通りさしみを買いに行った馴染みの店で、珍しくイギスというさしみを手に取った。

295円という驚くほどの安さに、一瞬躊躇したが、好奇心に駆られて購入を決めた。

イギスは、あまり一般的ではない魚種だが、その独特の食感と風味は、長年さしみを愛してきた私の舌を新たに刺激した。

この発見は、日々の小さな冒険が、いかに生活に彩りを与えるかを改めて教えてくれた。








イギス ホウセキハタ のさしみ


しかし、この喜びもつかの間、店主から聞いた話に胸が締め付けられた。

このお店も12月で閉店するというのだ。

40年以上この地域の食卓を支えてきたこの店の閉店は、単なる一店舗の消失以上の意味を持つ。

それは、地域のコミュニティの変容、伝統的な商店街の衰退、そして私たちの生活様式の変化を象徴しているようだった。




失われゆく味と絆


この店で過ごした数々の思い出が脳裏をよぎる。

初めて一人暮らしを始めた頃、料理の腕を上げようと熱心に店主から魚の目利きを教わったこと。

家族が増えてからは、祝い事のたびに特別な刺身の盛り合わせを用意してもらったこと。

そして何より、日々の買い物で交わす何気ない会話が、どれほど心の支えになっていたかを痛感する。

変化への適応と新たな発見


閉店は寂しいが、同時に、これを機に新たな挑戦をしてみようという気持ちも湧いてくる。

近隣の他の魚屋を探索したり、自分で魚をさばく技術を磨いたりするのも良いかもしれない。

また、この経験を通じて、地域の小売店の重要性を再認識し、残された店々をより積極的に支援していく決意も固まった。

イギスの味わいと共に、この店との別れを惜しみつつ、変わりゆく街の風景に適応していく自分の姿を想像する。

失われるものがある一方で、新たな発見や成長の機会も必ずあるはずだ。この日記が、そんな変化の中で自分自身を見つめ直すきっかけとなることを願いながら、ペンを置いた。